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「よく生きる」

自称辣腕経営者が人間や社会について淡々と語ります。代官山と港区海岸のタワマンに住んでいます。京大法学部在学中には有名予備校で講師をしていたので、外国語や教育について特に関心があります。

生きがいについて

今日読んだ本でなかなか示唆的なものがあったのでご紹介したいと思います。

 

https://www.amazon.co.jp/仕事なんか生きがいにするな-生きる意味を再び考える-幻冬舎新書-泉谷閑示-ebook/dp/B01NBVVJGT

 

タイトルはふざけた感じですが、精神科医の先生が書いたきわめて真っ当な本です。

 

この本の筆者の主張は、私がこのブログで申し上げている事と極めて近似しています。

 

・「有意義な時間を過ごそう」といった何でもかんでも目的意識を持って過ごさなきゃいけない強迫観念が現代人を苦しめている。もっとテキトーで良い。

 

・「仕事が生きがい」なんて完全なるドグマである。そもそもの間違いの発端は、アダムスミスやジョンロックの労働価値説にある。

 

・貨幣はあらゆる「質的なモノ」を「量的な世界」に還元する。貨幣や資本主義があらゆる手段を目的化させる。現代人の働き方は本末転倒だ。

 

・日本人は「苦しいことが美徳である」という軍国主義や全体主義を正当化するイデオロギーを未だに信じている。「私は生きがいのある楽しい人生を送っています」などと若手のサラリーマンが言おうものなら、「お前はまだ苦労が足りない」とみんなが足を引っ張るのが日本社会だ。「汗水たらすのが美徳」というドグマは日本社会ではものすごく強固だ。

 

・近代社会は自由を求めた戦いであったが、人間はいざ自由になると何をしていいのかわからなくなる。フロムの「自由からの逃走」は真理である。こういった時代だからこそ「生きる意味」を再構築することが大切だ。

 

・今の若者は「食べるために働く」といったハングリーモチベーションだけでは働けない。これを「甘えてる」とか「社会が分かっていない」などとオジサマは批判するが、間違っているのはそういったオジサマである。

 

・現代社会は、「市場原理主義の歪み」が顕著に出てきている。「わかりやすいもの」が市場を席巻し、時間がかかるものや理解に労力を要するようなものは素晴らしいものでやっても評価されない。

 

・芸術を味わうことが「卓越さ」に触れ、生きる意味を再構築するために不可欠な方法である。

 

こんなところです。

 

また、思想家としては

 

アリストテレス

ロック

ニーチェ

フロイト

ラカン

ウェーバー

ハンナ・アレント

 

あたりがよく引用されていますから、ある程度思想史に造詣が深い方ならこの思想家のラインナップだけである程度中身の推測ができるでしょう。

 

 

ちなみに、この本の筆者は精神科医で、一部の衒学的な文系学者と違い非常に読みやすい書き方をしてるので、人にもよりますが、およそ1時間半(本に慣れてない人で4時間ぐらい)もあれば充分読めると思います。

 

お勧めの1冊です。